2009/10/20

インマニの最適長を計算する



吸気バルブが開いてシリンダーの下降によって発生する負圧によって吸入された空気は、カムのリフトが減少して、吸気バルブが閉じられると行きどまりになるので、閉じられたバルブに、吸気が衝突して逆に戻る力、反射波を発生させます。
同じことが、スロットルバルブでもおきますね。
(排気の反射波、排気されて大気解放されて、それが音速で戻る反射波とは区別します)

この反射波(も、また慣性吸気も)は、エネルギーをもった波なので、これをうまく利用して、充填効率を高めようとするのが脈動吸気です。
慣性吸気、つまり吸い込まれた質量をもつ空気がなかなか止まらないのを利用する慣性吸気とあわせて、吸気の充填効率をあげる方法です。

ターボでしたら、強制的にタービンで空気を圧縮して正圧で充填できますが、自然吸気ですと、タービン過給がかけられません。

 機械的に過給をかけなくても、慣性や脈動を利用するのが、NAでは、出力アップのポイントです。
 この手段の可変式マニホールドは、古くは4AG、ユーノスロードスターのB型など多くのエンジンでポピュラーに
 つかわれてます。

ロータリーでも、大昔、スーパーインジェクションといって、ローターが閉じるときに生じる反射波と圧力波を
、行程の長さ、(270°)を生かして、長い吸気管使って充填効率高めてました。
バルブがない分、ローターで直接開閉するので、より効果的ですね。

これも大昔の話ですが、ルマン走ったペリも、脈動生かすので吸気管の長さ可変でやってたこともあります。

この仕組み、慣性吸気をM119エンジンで使うには、前回の3D画像のインマニでは、吸気管の長さが短いと書きました。

じゃあどれくらいがいいのとオタクから言われましたので補追です。

大分前、排気管、タコ足のところでも書きましたが、これを吸気側に当てはめるわけで、
特定の回転域において、排気管(吸気管)の長さを調整して、これをもってくれば、そこの箇所には、排気(吸気圧)が負圧(正圧)になるから、そこだけ、ターボがかかったようになります。 というわけです。

このポイントを計算するのは、圧力波のスピード、距離で求めます。

圧力波は音速に等しいから、ある排気(吸気)温度での音速を求めれば、もどりの反射波の到達距離がわかります。

計算式は、音速(c)、比熱比(κ) 気体定数(R)、気体温度(T)平均分子量(M))で、

c=√κRT/M

 で、別の計算式に簡略して置き換えると 1気圧中は(実際は排圧(吸気圧)によってもかわってくるんだけど)
 
 c(air)= 331.3+O.606T、

 排気(吸気)温度が仮に80℃で1気圧のときの音速は、313.3+48.48=361.78m/s
*高温の排気ガスよりは、遅いですね
 
 8気筒エンジンが、毎分2000回転で廻って、1秒間に爆発する回数は 
 8÷2×2000/60=133、つまり、1秒間に133回爆発(吸気)。

 仮に、ここのポイントであわせて、吸出し(過給)効果を狙うには、
 361.78÷133≒2.72 これが往復だから二分の一で、一次反射で1..36/2mとすべきとなります。 
すごく長い吸気管ですね

 つまり2000回転なら、133回の吸気の倍で266回いったりきたりするから、1次が1.36、2次が0.68

 M119の最大トルク付近の3800rpmに近い 4000回転なら
 さらにその倍の532回いったりきたりしますから、1次が0.68、2次が0.34m

 となります。119のUターンインマニのバルブから、スロットルまでの長さはこれ位でしょうかね?


 実際は、クロスプレーン、片バンク毎の不等爆発(吸気)の排気オーバーラップの圧力波のことや、二次反射だとインマニの形状等で減衰があるでしょうし、どの気筒間で併せるか、またインダクションボックスの形状等にもよりますが、経験値的に慣性吸気の効果があることはエンジニアの方は皆さんよく知ってます。

 M119でも、できるだけ長くしたくてわざわざ、Vバンクで180°ターンする複雑なインマニ構造造ったのでしょう。
後継のM113でもシングルに集中させて長さ稼いでいます。


V8に限らず、メーカーも量産車でも利用しています。ベンツやBMWでも4気筒、6気筒モデルでは、重心もあるでしょうが エンジン傾けてインマニ長くしています。

 これを、4スロがいいだろうとして、ショートインマニの4連スロットルつけたりすると、慣性吸気、脈動が使えなくなって トルクに谷ができます。全体でいったらパワーダウンです、つけるなら長いインマニか、長いファンネルとなるでしょう DTMのエボなんかはこれでやっていますね

 写真は、AMGの現行の6.3Lエンジン、ドライサンプモデルの図ですが、バルブからファンネルの先、インダクションボックスの 中間点が35~40センチ位でしょうか、この先のインテーク、エアクリーナー吸気管まで考えれば、1m位の長さがありますね。
トルクバンドは2000~7000rpmのほぼフラットで、M119エンジンより高回転狙っていますが、結構苦労しているのがわかります。

 V8では、ほとんど使われない、ツインスロットルにしたのも、吸気管長さの最適化のためでしょうか
 良く出来ていますね

これ見ると、M119なら、たとえば(排気系別にしてだと)1500,3000,6000で慣性吸気使える、
約90cm位動く可変インマニが欲しいという我儘も出てきます。
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