2009/08/04

500Eの排気系(4) フロントパイプに物理法則の真実を学ぶ


 
 最良のフロントパイプは?


雑誌記事で、500Eは、タコ足で×なものを、フロントパイプで帳尻合わせたと書きました。
メーカーの試行錯誤を考えると、よくやってると思います、やりくり、制約下での工夫ですね

本当ならタコ足を使いたかった、でもSでもSLでもEでも使える鋳物にした。
世界で一番売れるV8DOHCエンジンの宿命です。

対して、理想を追求したのは、M3のV8です。タコ足、「等長」のフロントパイプです。
純正でも音に拘って、良い音で鳴きますね!

他方、ベンツは、どうしたかっていうと、
W124の場合には既成のフロアレイアウトでできなかった苦肉の策が、
500Eでは左右のフロントパイプの口径を換えることによって、
フロントパイプ間の容量の差を非等長で無理やり併せた と 私は想像しています。

それ以外のSLやW210は、M119エンジンでも「等長」で集合しています。
それより前のR107のSLなんかだとエンジンの後ろで、すぐに集合させてました。

集合までの長さ(エンジン直後じゃなくて、1m以上もあとで)を、
性能上の理由で、左右バンクで違わせる理由が私にはわかりません。 
あったら初学者向けに教えていただきたいです。


そんなわけで、新しく作る場合には、妥協とあきらめの産物の純正のレイアウトに拘る理由が私には見つかりません。

さて、どうしても好きになれない純正のタコ足と非等長のフロントパイプの悪口はさておいて、
やっかいなタコ足から、吸排気干渉がなく排気されて、片バンク毎にフロントパイプを通っていったん集合します。

排気系の理屈からすれば、べつに片バンク毎に集合させる必要も、
両バンクを集合させる必要も、
極端な話、全気筒独立であってもいいわけです。

ここでなんで集合させるかを考えてみると、スペースや取り回しのこともありますが、
集合させることによって、気筒毎に違う排気の脈動を使って効率的に排気させることや
その反射波、また慣性排気を使うことが目的です。

実際に排気管弄ってみて、
特にNAで思うのは、ここでトルクバンド弄れる、つまり、トルクの谷を排気側でコントロールできることです。

つまり、排気を排気ガスの力、つまりピストンの排気行程によって生じる排気圧力で、
無理に押し出すのではなくて、排気管の集合部や開放部に生じる圧力波、慣性排気をつかって、
排気バルブの直後に負圧を発生させて、効率的に吸い出すことにあります。

特定の回転域において、排気管の長さを調整して、これをもってくれば、
そこの箇所、エキゾーストには、
排気が負圧になるから、そこだけ、逆の表現ですが、ターボがかかったようになります。

この場所を計算するのは、圧力波・反射波のスピード、距離ででます。
反射で戻ってくる圧力波は音速に等しいから、ある排気温度での音速を求めれば、反射波を到達距離がわかります。

計算式は、音速(c)、比熱比(κ) 気体定数(R)、気体温度(T)平均分子量(M))で、

c=√κRT/M

 で、別の計算式に簡略して置き換えると 1気圧中は(実際は排圧によってもかわってくるんだけど)
 
 c(air)= 331.3+O.606T、

 排気温度が仮に800℃で排圧が1気圧かかっても、大気解放後に負圧になるので平均として1気圧として、そのときの音速は、816.1925m/s
 
 8気筒エンジンが、毎分2000回転で廻って、1秒間に爆発する回数は 
 8÷2×2000/60=133tps、
 つまり、1秒間に133回爆発。
 (@2500/5000rpmのときは自分で計算してみてください。)
 これがエンジン全体の回転。

 これを一気筒毎で考えると、その1/8だから、16.6tps(times per second)

 仮に、エンジン全体の集合部、1本になったときに、ここのポイントであわせて、もどりの吸出し効果を狙うには、
 816.1÷133= 6.13 これの往復だから二分の一で、一次反射だと3.06m
 二次反射でその半分の1.53mとすべきとなります。
 (1次、二次の山、谷の数え方が人によって違うようです!)

 トルクバンドの谷を弄るに、カムで弄る方法も、吸気管の長さで弄る方法もありますが、
排気管でもできるということです。

 これを考えると、アフターマーケット品で、なんで左右非等長にしたフロントパイプが
 売られているのか、パフォーマンスオタクからすると理解できません。
 (スポーツ触媒の装着目的だったり、レイアウトを変えたくないということだったり、
 タコ足つけないから、こんなもん というあきらめなのかもしれません。)


フォミュラーフォードなんかですと エンジンにもカムにも手が入れられないので
排気管(タコ足)の集合部の長さ、集合の順番でセッティングしている位効果的です。

これは、豊富なチューニングパーツに囲まれている国産エンジンですと、まったく理解できないことかもしれません。

とてもベーシックな部分ですが、基礎の基礎の部分の理屈でエンジン、排気系を見られるのは
選択肢、パーツの少ないこの車のありがたいところです。

4(3)速オートマ、ファイナルが2.8とか2.6といった、ボンネビルでる位のスーパーウルトラ、ハイギヤードのベンツには、ピークパワーがどれだけでるかという山の高さより、トルクバンドグラフの台形、大地の面積の大きさが大事です。

つまり、何処で踏んでも、ドンと出られるトルクが必要になります。そのために、排気系の集合部を弄るわけです。
スポーツ触媒を純正位置に配置するためでも、音のためでもないです。(音は、タコ足とマフラー、サイレンサーですね)。



ご覧のヘアライン号のフロントパイプは集合部までの長さは、約1.2mです。
これは排気温度をy℃で見て、x rpmで、二次反射波(ここからのもどりでの負圧)を利用したいという理屈です。

純正で、5000回転位の回転で谷が出来たのがこれで消えてます。

集合部の角度は、経験値によるもののようですが、外から見ると、20~30°です。
写真には写してませんが、内部の集合部の整流板は非常に格好がよいです
ここ、凄くパワーに影響します。

O2センサーは純正用のものが集合部の上に、λメーター用にもう一つ、合計2つ、セッティング用に排気温度計の穴も空けています。
これ、ロムチューンのところでもお話すると思いますが、O2センサーと、排気温度計なしで、セッティングは『絶対』にできないと思います。

外車だから、ベンツだから、@@@だからといって、騙されないようにしましょう。

この排気管は、えちごやの皆口さんの設計、製作によるものですが、集合部の長さ決めるのに、すべての気筒毎と集合部に排気温度計くっつけてセッティングしてました。

人のデーター信じない、自分のデーターを信じる偉さはありますね、ステンレスの焼け色、タコ足が黒に近くなっているのを見てもらえれば、排気温度がどれくらいなのかは想像できると思います。
フロントパイプの集合部までは多少温度下がってるようですね

「うーん、やるなぁ !」

といったら、「排気温度測らないでどうやって集合部の計算するんだ バカ」と言われました。

ちなみに、海老管になっているのは、長さ併せるときに、海老繋ぎにしたほうがパイプを何センチつかったかわかりやすいからだそうです。疑り深い人は、集合部に詰め物して、何CC水が入るかをメスシリンダーで測って確かめています。


まあ、当たり前のことなんですが、当たり前のことやっていない人が多い分、新鮮であります。
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コメント

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教えてください

 車検対応スポーツ触媒付のマフラー、フロントパイプにAMGのタイコを買って数年使っています。純正形状の左右非等長ですが、特に不満は感じていません。なにか問題がありますでしょうか?抜けがいいと低速トルクがなくなるといわれますが、どうなんでしょう

 はじめまして、特に問題を感じていないなら、それで良いと思います。

 ここでも書きましたが、元のトルクが大きくて、ギアの少ない車なので、比較がしづらいです。
 私なんかは、職業的に比較したり、「ためにする」理想の追求でやっていますので、こうなります。
 極論をいえば、5000ccのトルコン4速の、不等間隔爆発で、非整流のタコ足つけなければ、非等長でも、実用上問題になるような不具合は、たぶん、ないでしょう。
 理想と性能を追求すれば、ストールコンバーター+タコ足+等長のフロントパイプです。

 非等長でも、集合位置やタイコの中身、管径でトルク位置や音は調整できるでしょうが、「おっつけ」で最善には 遠いと思います。

 私が、ここでいうTuningというのは、「与えられた条件・制約下での発展的理想追求ないしその探求」であるわけで、その意味で、最善ではないという結論です。 

 辛口なのは、「発展的理想追及でなければ、やらなくてもいい」という割り切りだと思いますが、別にそれを否定するわけでもないです。