Mercedes Benz W124 500E のマルチリンクサスペンション スタディ ヘアライン号よ それでも車高を下げたいか(10) 風通しの良い、悪い 2 等長リンクの思い出
自動車、乗用車の場合、
パッケージングによる制約が優先されるため、リンクの長さはむやみに長くできるわけではありません。
これは、左右車輪が独立に揺動する独立懸架でも、リジッドマウントでもかわりません。
特に独立懸架装置、マルチリンクでサブフレーム方式、
サブフレームにマルチリンクやデフ、ドライブシャフトを あらかじめ組み付けておいて、
それをラインで合体させるという方式、
おそらくメルセデスが W201 で最初に考案したとても効率的な生産方式では、
あらかじめリンクを所定のトーインやキャスター値に調整して、サブフレームに組付けたリンクを
ボルト4本で ゴムマウント経由で車体に組み付けるわけですから、
生産性は非常に優れるわけです。
ですので、リンクの取り付け位置を、
サブフレームより前にもってくることはできない等という制約があったんでしょう。
それでも ロアアームはデフの下、できるだけ揺動半径を長くしようとしてますし
ロアリンク(前、下側のスラストリンク)も、サブフレーム取り付け位置ギリギリまで伸びてます。
などと思いつつ、これを伸ばすとどのように、トー変化、キャンバー変化があるのかを実験したく、調べてみました

アーム長を長くすれば、その分、車高変化しても、アーム自体の角度変化は減ります。Tan Θ
対して、短ければ、アーム自体の角度変化は大きくなるわけです。
定盤の上に再現してますが、これ車体に組み込めば、後席のクッション超えて、フロアまでリンク始点がいくでしょう

仮に上下のリンクの挟み角が並行、等しい長さ、いわゆる 「等長リンク」 だとすると、
車高変化により、
車高が下がるバウンド時には、トレッド変化量が、非並行のものと比べて大きくなります。
ロール時には、ハブキャリアは、車体のロールにあわせて、外側に倒れる、ポジティブキャンバーに移行し、

こんな感じでしょう
なので、ロールセンターの位置にもよりますでしょうが、リジッドサスでない、独立懸架方式の左右にのびる
リンクは並行ではなく、上下で非等長となるわけです

マルチリンクの場合、これに操縦安定性に影響のあるトーイン、トーアウトが 上下Aアーム+トーロッドで
かかわってくるので、さらに複雑です。
近年のメルセデスのマルチリンクで、トーロッドが後ろ引きになってるのも、ここらへんのところもあるんだとおもいます
乗用車の場合、音振等の理由により、リンクに(すくなくとも一部には)ゴムブッシュを使うわけですから、
ベアリングの場合とくらべて、さらに複雑になるわけで、それが、円弧型アーム形状採用になってくるんでしょう
ここは、もっと勉強しないと理解がすすまない部分です。

前にも引用したベンツのC111の初代マルチリンクですが、2シーターミッドシップで
パッケージ自由度が高いので、 前側のロアリンク、アッパーリンクとも、できるだけながく、
アンチスクワット考慮してでしょう 理想的位置にもってきてます。
ロアアーム長も左右がくっつくくらい極力長く。あわせてトーリンク(タイロッド)も
おもいきり長いです
アップライト、ハブキャリアなんか、ホイールにはいる設計ではなく、リムの内側においてるようにみえます。
(トレッド広げるいみもあるんでしょう)
そんなこんなで時間かけてます。こんなことにお付き合いいただける 日々発見があるのは
エスコートの尽力あってです 感謝してます

参考までに、独立懸架マルチリンクではないですが、
パッケージング制約を考えずに、 リジッドサスのアッパーリンクを伸ばして、理想化、いわゆる等長化したもの
栃木 RS YASUの86 から借用です
リジッドサスが一般的だったころ、5名乗車の設定では、
4+αリンク仕様(4リンク+ラテラル、もしくはワットリンク)
アッパーリンクはロアリンクとくらべて、短くなるのが市販車では当然でした
これだと、バウンド時、ロール時に、トラクションがかからない、ロールセンターの関係で最適値に調整できないという
問題がでるので、
4リンク+ラテラルリンクの310サニーとか、カローラの70とかでは、改造制限の少ないCクラス等では一般的に
採用されてました。特にダートだと、私が乗っても、とても差がわかりやすかった記憶があります
その後、大人気となった、AE86は、リアはカローラ70と同一ですから、こういう改造が後に盛んになるわけです

床が見えてます、風通しがよいです(笑)
これ、おんなじこと、ナンバー付きで、自分の車で改造したとき、サンダーで床切って、地面が見えたときは、
けっこうビビった記憶があります。10代の青春時代の思い出を、40年後にまたやろうとしてます。
実のところ、進歩してません。
40年前の私が、紅顔で大志を抱いていた十代、
今の私を見たら、何と思うかな?
うーん、どう贔屓目に見ても、とても褒められる自信はありません。
栃木那須のRS YASUの頁、CARBOY TVでも出てました
ここに集まる方々も、同じように年とってもやってることがあまり変わらない人々です(笑)
*等長リンク まだマルチリンクが一般的でなかった、リアはリジッドサスが主流だったころ、
70、80年代では、リーフリジッドから、ようやくコイル方式になったリジッドサスペンションでは、
国産乗用車では、5人乗りのスペース、後席スペース確保のため、ロアにくらべて、だいぶ短いアッパーリンクが主流でした。
足のいい奴! と呼ばれたカリーナ、セリカとプラットフォーム共通だったは、コイルスプリング+4リンク、ラテラルでした。
大衆車、廉価版のカローラで4リンクになったのは、7#つぎの8#までですよね
サニーで10,110,210まではリーフリジッドでしたから、310からです。
そんな時代に、自動車オタク始めると、アッパーリンクを延長して、ロアリンクと同じ長さに改造したピロボール式の
リンクのことを通称で「等長リンク」と呼んでありがたがってました。
ダートラ競技が盛んだったから、車高あげるてアッパーリンクが短いと、今思えば、ロールセンターがかわる、
トラクションがかからないわけで、室内まで長くしたリンク改造が、さかんにおこなわれて、
免許取りたての小僧が乗ってもその差に驚かされた記憶があります。
そう思うと、これを独立懸架のマルチリンクサスペンション、いわゆるAアームの発展形につかうのは、
用語の使い方としては間違いなんでしょうが、いまでも頭の中に、「等長リンク」というフレーズがのこってるので
つかってます。
これ、英語で訳すと、絶対おかしい、共通の時代経験がないと意味わからないですね
昔のリジッドサスでつかってた前後に伸びる上下の長さが、同じくらい、短いのを伸ばす方向にあったから、
「等長リンク」と呼ばれていたわけで、
これを、独立懸架のマルチリンクのアッパーアームとロアアームにそのまま使うとおかしいですね