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2018/10/18

WTAC2018 タイムアタックレース 2 から考える工作機械マシニングセンターの内外価格差


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オーストラリア シドニーで毎年おこなわれるWTAC 数年前から出てる車で注目している車があります。
今回念願の1位 RPポルシェ968 オーストラリア製のマシンです。

写真はマルティーニカラーにラッピングする前のCFRPボディ

投機対象にもなる位の、世界的な空冷ポルシェ人気と相まって、
日本では不人気で、もうほとんど走っていないポルシェ968 水冷4気筒をベースに
タイムアタックマシンを仕上げてます。

私も、V8の928の他、4気筒の924、944,968と友人の車を乗らせてもらったことがありますが、
いずれもトランスアクスルで、静的動的な重量配分、加減速時のコントロール性は素晴らしいものでした。

空冷の弱点、100マイル超えた安定性、空力ドラッグ悪いので走行抵抗はすごく強くなる、
おまけにフロントリフトが発生してくるわ、横風には弱いはで、
三重苦の空冷ポルシェをはるかにしのぎ、

物凄く高いレベルでの運動性能だったと思います。

素性が良いのに評価されない車の魅力を発掘したと 前回の訪問で訪問したときに伺ってましたが、
素性というより、トレッドはアームから造って広がってます。
オリジナルの部分はフロアとバルクヘッドとだけだと思います

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エンジンは、928のヘッド、v8方バンクを流用したのかと思いきや、
ヘッドもビレットで削りだして、左右の吸排気を入れ替えて、右ハンドルでのターボ化に対応している(笑)。

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ブロックも削りだし、ボア広げるから、ボアピッチも変わる、ヘッドもまた作る、
カムも削りだす、もちろんクランクもものすごい、形状のクランクがはいっている

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ETC、原型がないとはこういうことをいうレベルに仕上がっています。
云億円単位でお金かかってます。

それで、この車の話はまたあとでとして、
今回は、ビレット製品を作る際に使うマシニングセンターの値段、内外価格差について書きたいと思います。

日本国内、知り合いの加工屋さん、エンジン内燃機やさんでも、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、
銀行や公庫から借り入れて、設備投資をしています。

ただね、この値段、国内価格と、私がすんでます中国で販売されているものの値段、
同メーカー、同等機材の価格があまりにもひどいレベルで差があります。

米国、ドイツ、国産がハイエンドやミドルレンジ、
中高価格帯メイン、
中国や韓国は ローエンドレンジという 国毎の差はあるにせよ 
実際、同じメーカーの同等機材を比べても、中国と日本では ものすごく差があります

同等機材といっても、仕様は国内と海外で違いますし、機械をかってそのまま使えるわけではないから、
設置やイニシャルのセッティングに加えて、作業する人の講習や熟練の費用もかかるので、
そのままは単純に比較できませんが、

日本で、削りだしのエンジンブロックやヘッドが出てこない(べつにハイエンドでなくてもできるのに)のは、
機械自体の内外価格差が大きいんじゃないかと思っています。

あまり、個別のメーカーの個別のマシン、具体的な値段を出すのははばかれますが、
経済産業省が2016年度に発表した資料によれば、
中国との単純内外価格比較でいうと、縦型で4.74倍、横型で1.82倍です。
縦型と横型の差があるのは、おそらくローエンドが多い横型は価格差がおおきい、
ハイエンド、ミドルエンドが多いであろう 横型は価格差が少ないっていったことでしょう

対してアメリカとの単純内外価格比較でいうと、縦で1.76倍 横で2.51倍

ようは、日本で1185万円する縦型マシニングが、中国では250万円 もう勝負にならないですね
実際に展示会やショーにいってみて来てもこんな感覚です。

経済産業省 リンク
2016年度 産業向け財・サービスの内外価格調査

 こちらの55Pをご覧ください

リンクのエクセルの表 書き出してみますと

     品目                  米国   ドイツ     韓国    中国
204 マシニングセンタ(立型)            1.76   3.40        3.15    4.74
205 マシニングセンタ(横型)            2.51     -      2.15     1.82

これ、日本が1。日本を分子とした場合の分母

つまり 日本/その国のものの値段 



主軸が垂直の縦型のマシニングセンターだと、アメリカが1/1.76 つまり、日本の約56.8%の値段
               ドイツは 1/3.40  つまり  日本の約29.4%の値段
          おとなりの韓国は、 1/3.15  つまり  日本の約31.7%の値段じ
          そして  中国は  1/4.74 つまり  日本の約21.0%の値段
          
  

中国は名実ともに世界の工場で、おそらく機械の場合も
販売量が日本の10倍以上あるでしょうし、世界最大市場を狙って、内外の競合も多い、だから価格競争が激しい、
値段が安いということになるんでしょう

おそらく5軸については 主軸が横型のほうに区分されるためでしょうか、価格も高いためか、
制御、機構が複雑であるため、日本もまだ競争力があるんでしょう、

縦型より、価格差は少ないとはいえ、本家アメリカだと日本の値段の39.8% 
半値の八掛けです(泣)中国は、55.2% 約4割5分引きです

調査対象品のスペックはこちら
204 一般機器 マシニングセンタ(立型) 立型、
高性能型、前後ストローグ510mm以上、作業面積600×1,100、各軸移動量x800×y510×z510、主軸回転速度12,000

205 一般機器 マシニングセンタ(横型)
横型、高性能型、テーブルサイズ500mm以上、作業面積800×800mm、各軸移動量x1,300×y1,200×z1,100、主軸回転速度10,000


ある意味しょうがないこともあるんですが、日本製、日本メーカーの機械が
内外価格差があり、競争が激しいとはいえ、海外、米国、中国では、3~5分の1で売られてるんですから、

そりゃ加工代も安いわけですよね

ここには記載されてませんが、自動車生産の一大拠点となったタイでも同じようで、
オーストラリアもきっとそうなんでしょう

そりゃ、加工時間単価は下がるでしょうし、アルミの値段も日本の高い電気代で出来たアルミとじゃ違うから、
もう、どこをどうとっても 勝負にならないレベルだと思います。

5軸のMCでヘッド削りだしなんて、日本でやろうと思って、3d測定からデーター起こしても
加工機械をもっている設備投資できるところが限られているし、
その加工値段も、機械代、電気代、税金(固定資産税、法人税率他)では大幅に不利なわけですから、
頼むにしても、そもそも難しく、できたとしても、数倍の値段、準備にかかる時間も数倍になってしまいます。

世界で最も高いマシンをメンテ付で買わされて、材料も高い、電気代も高い 
流通コストも高い、しかも数が出ない では、もう、どうにもなりません。

いつの間に、こんなに差が付いちゃったのかと、
素晴らしく仕上がったかの地の車をみて、思いつつ、
趣味からみた世界の実情を感じて、我が国の産業、貧国弱兵の未来を考えるとブルーになります。

まあ、日本の購入者が、数が少ない、複雑な流通や、メーカーの思惑で、高いものを掴まされてるんでしょう

なんとかなんないですかねー

これでも まだ、日本最高! 地元最高!職人技、匠の技って言い切れますかね?