722.6 NAG1 エボリューションプロジェクト (20) ハイストールコンバーター 3000 722.6 NAG1. Evolution Project (20) High-Stall Converter 3000 722.6 triple clutch
オイルパン製作とトランスブレーキ装着にあわせて、
別の722.6 トランスミッションをフルバージョンで製作して、さらなるアップグレードの準備を進めています。
メルセデス内製の722.3、ポルシェ928とベンツ位でしかつかってなかったものと比べると、
クライスラー米国生産モデルがあることから、アフターマーケットパーツが非常に豊富でノウハウも
沢山あるのがありがたいです。
そんな722.6、W124 500E M119エンジン用に
ハイストールコンバーターを米国に特注したものが届きました。

オーダーしたスペックは、エンジンのスペックと車重、ギア比、タイヤ径にあわせて、
トランスブレーキのホールドにあわせて、
ストール3000回転+α 超です
ロックアップクラッチも現在のツインプレートから、トリプルプレートにしました。
コンバーターのセットは難しく、レース用であれば割り切れる部分も多いのですが
(それでも何度もセットすることになるんだけど)、
ナンバー付の高速道路移動、ストリート兼用であると、
ストール前の回転、3000回転以下で、ずーっと高速道路巡航するとなると、発熱を考慮する必要もあり
実績のある3000で試すことにしました。
あまり日本語で書かれてる参考資料がないので記載しますと、
レース用でもストリート用であっても、
コンバーターのストール回転を選ぶにあたっては、
車重やファイナルギア比、リアタイヤの直径、エンジントルクカーブ、
カムやバルタイ、排気管の長さ、口径、インマニの形状やスロットル
ニトロのタイミング他
を総合して選ぶことになります。
ロックアップのあるなし、どのギアで、どこでロックアップするかのセッティングや
大事な水温、ATF温度等を総合的に考えることになります
(722.6は 2-5速がロックアップです)
先方のコンバーターのエキスパートの方から東部なまりの早口で話を聞くには、
1000馬力 100NTm 程度だったら コンバーターのロックアップクラッチは
ツインで平気だよ
フライホイールとクラッチカバーのマニュアルクラッチと違って、
前側のポンプインペラーのオイル駆動によって動く、
駆動後のタービンランナー と ステーターーの固定でしか固定しないし、
その前にさきにインプットシャフトや 4個の遊星ギアがいかれるよ
2t超のジープのSRTでも大丈夫だよ とも いわれましたが、トリプルで行ってみます。
数が多ければよかろうというのは、私の育ちの悪さ由来の悪癖なのは判っていますが、
ハイストールなため、高回転、トルクバンド域でクラッチ接続して、
あわよくばニトロも吹こうかとするわけですから、余裕もたせました。
重量は15.8キロ、直径は約295mmです。約11.5インチ

小さいほうがハイストールっぽいのですが、実際は、内部のステーターや
タービンランナー ポンプインペラーの直径だけではなく、羽の形状や枚数によってかわるので一概にはいえません
トップフュール用のコンバーターなんかですと、ハイストールでも径が11インチ超とかあります
722.3のときは、同じ米国のJMO製のストール3000を使用していました。(こっちはもっと小さかった)
重い500EとAMGのカムとのマッチングも良く、ハイストールのデメリットはドラッグレース、ストリート走行、日常走行を含めて、
感じられませんでした(発熱量以外は)。
ファイナルが2.65のときは、高速巡航がオービス手前位ださないと、ストール回転に達しないので、
直結にするためには、常時追い越し車線でしたが、
3.64の場合には、100キロ巡航でもストール回転超えてるという具合でした。
みなさん、ハイストールというと、レース用、乗りにくいと考えてる人もいるようですが、
そんなことは私がつかっていた組み合わせでは、ありませんでした。
ベンツに限らず、一般的なトルクコンバーターは、ストール回転を1500回転とか、1800回転(722.3はこれ)で、
コンバーター内部のタービン(ポンプインペラーとタービンランナー)が1:1になり、
ステーターによるトルクの倍力がなくなります。
なんで、トルクコンバーターでトルクが増えるかというと、
ユタカ技研動画
のアニメ動画をご覧いただくとよくわかるとも思います。
コンバーター内部で、前側のタービン、ポンプインペラーがエンジン回転に応じて、回転して、
その向いにある後ろ側のタービン タービンランナーがATFを流体とした流体継手で動くのですが、
一定の回転以下だと、ステーターに戻ったATFオイルが還流するようにしてあるため、
もどったATFのもつ流体エネルギー分、タービンを動かす力が増えて、結果として、
エンジン回転トルク+戻りATFのトルクとなって、一定回転以下(たとえば3000回転)での
駆動トルクが増加します。
ストール回転が高ければ、その分、低回転での流体継ぎ手のトルク増加効果があるので、
ハイカムいれたり、太い排気管つけても、
低回転トルク抜けを補えられるので、乗りやすくなります。ギクシャクもしません。
車重やエンジン特性、可変バルタイや、ギア比、タイヤ径、
トルクカーブ、タービンの立ち上がりや、ニトロの有り無しにもよりますが、
ストリート兼用の場合だと
最大トルク発生回転前後、少し下回る位のストール回転にするのがセッティング例が多いようです。
つまり、最大トルクが3750回転なら、3000とか 3300回転がコンバータのストール回転数、
これが最大トルク5000回転なら、4000とか4500回転のストールになります。
コンバーターのトルク増大効果により、駆動トルクは、たしかに増えるのですが、
その分、熱損失が増えるため、大きなラジエターや、ATFクーラーが必用になります。
(詳しくは、ヘアライン号が1800回転のストールから、3000回転ストールに変えてからの、苦労の熱対策の道程をご覧ください。)
ちなみに、722.6は、コンバーターの中にロックアップクラッチがついているので、
コンバーターの直結後、ロックアップクラッチで直結になれば、、熱損失が減ります。
なので、燃費、熱効率、クーリングの面では、722.3の機械式のオートマよりは、優秀です。
(でも、クラッチの分、コンバーターの重さが重い(笑))
純正ECUの燃料マップ見ても、ロックアップクラッチが直結になると、どうも、燃料補正をいれているようです。
仮に、エンジントルクが、ロックアップ前と後で同じだったすると、
ロックアップ後には、後輪の駆動力が落ちるわけで、同じ駆動力を出そうとするとアクセル開度が増える、
アクセル開度が同じで、パワーだそうとすると、点火時期をあげるて最大爆発圧力にちかずけるか、
空燃比をλ1から濃い側に振るようになるんだと思います。
つまり、それだけ要求燃料が増える、ガソリンを呑むようになるわけで、だから補正するのかと思ってます。
最近の電スロ制御だと、ここらへんも、スロットル開度で調整したりするので、
昔のアナクロとくらべると、さらにややこしい話です。
燃費規制で多段化がすすんでいますが、実際に運転する楽しさからは遠ざかっていると残念に思っています。
20世紀の遺物的な自社開発の5速オートマと、ハイストールコンバーター、
21世紀にもなって、パワー空燃比12:1とかいっている秋の夜長であります。
おそらく、何回かコンバーター(ストール回転)を変えることになると思うので、つける前の予想と、備忘のために
書いておきます