ステムシール

M119エンジンでは、20万キロを超えたころから、チェーンガイドレールの破損、チェーンの伸び、
水温管理状況によっては、ガスケット水路の腐食によるエギゾースト側の冷却水漏れがおきます。
それと比べて、ヘッドからのオイル下がりについては、M119では、オイルチューブでオイル流量管理を適切にしている構造からか、リフターでカバーしているからか、もしくは、ヘッドのカムカバー内の内圧管理がよいのかわかりませんが、余程でないと、ケムリでモクモクになったという例は聞きません。
しかし、その分、オイルがバルブステムシールから下がるようになったときには、バルブガイドには相当のガタが出ていて、ステムシールだけを交換しても、バルブガイド磨耗でバルブステムのクリアランスは許容値を超えていて、本当にガタガタですからすぐにまたオイル下がりとなることが珍しくないと思います。
ヘッドをはがないで、プラグホールからエアを入れて、バルブを空気圧で保持して燃焼室に落ちないようにしてリフターをはずして、ステムシールだけ交換する、ヘッドを空けてもガイドを交換しないで、バルブすり合わせ、シートカットだけという方法もありますが、今後、長く500Eを乗ろうという方には、私はお勧めしません。
ここは、色々な考えがある、それぞれのお考えもあると思いますが、
「良いものを修理して永く乗る」という立場からは、この場合、
M119エンジンについては、ステムシールだけの交換というのはお勧めしません。
理由は、バルブガイドに許容限度以上のガタがある状態で、ステムシールだけ交換しても、クリアランスが規程以上なら長くたたずして、オイルは下がります。そもそも、バルブガイドにガタがある状況では、
バルブシートのあたりが良いことは絶対になく、圧縮圧力も保てないからです。
昔のベンツで車両価格がそこそこ高くて、中古車屋さんや中古取得のオーナーが、転売目的のための修理や、一時延命で「あとは売っちゃうからいいや」の頃なら、こういった修理もありましたが、よいものを長く乗ろうという前提でしたら、高利貸しの『金利払ってジャンプ』みたいなことは、できればやらないに越したことはないと思っています。
経験上、バルブガイドのガタが出て、シートのあたりが変わってくるのはベンツM119であっても10万キロ走行を超えた距離くらいからで、タイヤ2セットから3セット交換するスパンでは、やはりガイドのガタも出てくると思っています。
そのままでも、若干のパワーの低下や、トルク感の低下はありますが、充分日常の脚として使えますし、
実用には耐えるのですが、その倍以上の距離を耐えて、20万キロで、ここでオイルシールを変える必要がでたら、ここは、ヘッドを空けて、ガスケット、タイミングチェーンと一緒にバルブガイドも入れ替えて、
シートカットをしなおす、バルブの研磨をするといったことをするヘッドオーバーホールを
やはりお勧めするというわけです。
修理代がかかるのを節約したいというのもわかる、良くわかるんですが、永く乗るのが前提なら、
結局高く付いちゃうんですよね、名車のオーナーになったということは、この車を残す、次に引き継ぐという
使命、義務も道義的に一緒についてくるんだと思います。
今、夏休みの終わりの時期に、子供時代のわが身を振り替えって思うことなんですが、宿題をやっつけで仕上げるという目前のことより、課題を先延ばしにしないで「やるべきときにやっておく」という人生習慣が、大事だったんだと思います。
もちろん、こうして書いている私も、夏休みの課題だけでなく、いろんなことを、先延ばしにして生きてきた結果の反省を込めて、目標管理、やらなきゃならないことはやる! の大事をかみ締めています。