燃料ポンプの吐出量(2) ボッシュ、044ポンプの吐出量について

さて、その燃圧と吐出量ですが、電圧が瞬間的に低下するその分、吐出量は減ります。燃圧も下がります(脈動による変動も勿論あります)。
特に重要となるのは、加速時にアクセルを開けて、急に噴射量(開弁時間)が増加して、燃圧が低下した場合や、高いギアで連続高負荷を掛けたときで、必要なときに必要な燃料が供給されないため(燃圧が下がると単位時間あたりのインジェクターからの燃料の噴射量は減る)、燃料が薄くなります。
そのためには、きちんと燃料ポンプに電圧(13.8V)が掛かるようにすること、太い配線(人によってはキャパシター、電子コンデンサー等)を組み合わせるのが一般的です。
ベンツの燃料ポンプは、500Eでは前期中期では、タンデムポンプの直列、これはKEのころからの流れでしょう。
燃圧の変動には、とても強い、見掛けの吐出量より、安定して燃料をインジェクターに供給してくれます。対して、後期の500E(E500)は、シングルポンプなので、燃圧変動には弱いです。
ちなみに、979の純正ポンプ(165L/h)の場合の最大馬力の計算は、
165(L/h)x0.72(g/cc)x1000/260(g/PS-h) ≒ 488.7(PS)
これに安全マージン、2割考えると
X O.8 ≒ 390.9(ps)
記事にも書きましたが、AMGの6Lの最大馬力、カタログ数値の385馬力?に近いですね
つまり、500Eもチューンしていくと、5L(330PS)のままなら、まだ余裕がありますが、6Lでタコ足やフロントパイプ等を詰めて、ドンドン馬力上げていくと、燃料がだんだん足りなくなります。
そこで定番で登場するのが、大吐出量ポンプです。ボッシュの「044」ポンプを使います。
こちらの吐出量は、13.5V(5bar)で200Lですから、純正の979より、2割以上多い、市販では最大級の吐出量で、昔からポルシェのCカーターボに使われてたから別名、ポルシェポンプとも呼ばれて、今でも多くのチューナーは、国産車のチューニングにこれを使っています。
(500Eにポン付けするには出口の形状(♀孔 M18×1.5)が純正とは違うので、配管アダプターの製作も必要になります)
グラフ見るとわかりますが、この044は、純正最大燃圧の3.8barでも 約220Lは吐きます。
最大馬力を計算してみると、
220(L/h)x0.72(g/cc)x1000/260(g/PS-h) ≒ 609.2(PS)
これに安全マージン、2割考えると
X O.8 ≒ 487.4(ps)
このポンプなら、純正の240ccの5割増、1気筒 366cc/min(80%)~458cc/min(Full)のインジェクターに対応してくれます(ただし、NA)。
注意点は、O44ポンプは、要求電流が13A(2個で26A)と大きい点と、作動音がウルサイところです。前者は、配線の引きなおし、後者はポルシェ用のゴムでできた燃料ポンプカバーを一緒に使えば、大分音が低減されます。
ベンツの場合、ポンプは高いところに引っぱり上げるのが苦手で、押すのが得意な燃料ポンプにはとても良い位置にあって、後席右床裏に配置してますので、室内で聴く分には、作動音は、そんなに気にならないですが、やはりこれをつけると静かになるのがわかります。