2017/03/14

メルセデス オートマティックトランスミッション 変遷

 写真はメルセデスベンツ社のトランスミッションの変遷 722.0/1から722.6まで (たぶん)

722変遷

6機がならんでいます。

一番手前は、今 ヘアライン号が載せている 722.6 NAG1 5速電子制御 シリーズのスモールNAG
(M119搭載の500Eに搭載する ビッグNAGではないです、一回り小さいスモールNAGです)

次が   722.5 5速、722.4の5速版
( W124の300E-24V とか M104のモトロニックのSLやW140、W210やC36の最初期モデルにのってたやつ)
その奥が722.4 722.3の4速 6,4気筒

722.1 分割式のベルハウジング たしかM116とかの初期モデル

一番奥が722.0 たしか 縦目の108とか でしょうか

私の場合、ベンツのオートマのモデル理解が乏しいのと、
知識経験に偏りがあるので、自分がやったことのあることしかわかりません。

でも、門外漢なりに拝見しますと、
ベンツ社のオートマチックトランスミッションへの拘りは、他のドイツメーカー、ポルシェやBMWはベンツや他社の
オートマを購入してエンジンと組み合わせたり(928は722.3でしたし、996やカイエンは722.6ですね)
ボルグワーナー社のオートマをそのまま流用しているのと比べると
相当投資をしてふるくから自社開発してます。

さすがというか、昔から、内燃機の動力を伝える変速機の重要性をわかっていたんでしょう。

自動車メーカーも淘汰、合併が続いて、前にも書きましたが、
クライスラーと一時は一緒でしたので、その流れで、米国車、クライスラーやダッジでも722.6を搭載した
モデルが多いわけです。

弄る人、競争する人が多ければ、進歩は進むわけで、
自社開発でない分、ブランド価値が高い分、コストをかけられるポルシェ社の手法や、
マイバッハやSLRの部品、アメリカのドラッグレースのノウハウや部品を、うまく組み合わせて、
享受できるというメリットが出てくるわけです

ベンツのドライブトレインのエリート開発者も、まさか20年後に極東の日本で
社外コンピューターつけて、W124 500E M119エンジンに
のせるなんてことは予想もしてなかったでしょうね(笑)


2017/03/11

500E 722.6 NAG1 エボリューションプロジェクト (3) 改良された純正部品流用 W124 500E 722.6 NAG1. Evolution Project (3) 


 書きながら思ったのですが、722.6の登場、W140の95年ですから、もう20年以上も前のことなんですね
500Eが新車で売ってた時にはなくて、W140129や210のM119、M120のモトロニックモデルに搭載された。

 フル電子制御ですからDASを繋げば、油温も車速も、回転も、ギア位置もモニターできるし、
 コンバーターにロックアップのクラッチがついてるわで、相当衝撃的だったと同時に、
 手がだしづらいイメージがありましたが、時間がたてば、慣れるもので、今はこんなことやっています。

 そんな憧れ、夢(笑)の722.6 ミッション 初期の頻発トラブルとして 記憶にある諸兄も多いでしょうが
 ソレノイドをコントロールする電子制御回路基板、コンダクタープレート、スピードセンサー等の不良と
 コネクター、コネクターシールリングの不良によって、ATFが漏れる、毛細管現象で配線ケーブルを伝わって、
 コントロールユニットボックスの中までオイル漏れになるというものがありました。



 こちらが、そのコネクター 

ATカプラースペーサー

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こちらが、
コンダクタープレート

140-270-1161.jpg

 OEM部品もありますね


 ですので、722.6を乗せようという方、M119のハウジングが付いているモデルを使う方は、
 ハイパフォーマンスを求めた、チューニングとまでは行かなくても、
 このコネクター、シールリングとコンダクタープレート、
ATFフィルター
は換えてから搭載されることを
おすすめします。

 もう少し、何かしたいという 人は、AMGマクラーレン 等のモデルで採用されたブルートップ、ソレノイド
 を装着してます。

BLUE TOP

 このソレノイドは、6個あるソレノイドのうちの、
 モジュレーティングプレッシャー、シフトプレッシャー制御をおこなうもので、
 動作速度、無効反射時間、口径、流量等が通常のものより早い、量も多いと聞きますが、
 私も乗ったことはありますが、新旧を比べててないのでわかりません。

 ただし、チャレンジャーや、ダッチジャージャー、ポルシェのチューニングでも、ふつうに使われてる部品なので、
 きっと、良いんじゃないかと思います(笑)。

 オイルフィルター交換と同時に、セットでお求めはspeedJAPANでどうぞ



2017/03/03

722.6 NAG1 エボリューションプロジェクト (4)  TRANS BRAKE  722.6 NAG1. Evolution Project (4)

旧いベンツ 500Eに 722.6乗せたい人なんて、
日本には、ほとんどいないと思いますし、
その5速オートマをチューニングしようなんて人は、さらに少ないと確信してます。

そうではありますが、
小集団、異端の中で考えつめていくということは、またその中で、切磋琢磨があるので
少しは意味のあるものだと思いつづけます。

さらに、どんどんマニアックになっていきます。
ダッチチャレンジャーやチャージャーの722.6なら、まだしも、
ベンツに関して言えば、絶対、需要のないトランスブレーキ。

PARAMOUNT NAG1

こちらは、MOPER等のチューンで有名な
パラマウント社トランスブレーキ搭載のスーパープロシリーズトランスミッション
トランスブレーキ、そもそも、どういうものか、説明が必用なレベルの部品です。
日本では 9RECORD AJITOの長谷川さんのところで扱ってるようです。

ドラッグレースのスタート時に、
エンジン回転を上げてトルクが出てくると、
フットブレーキ、ラインロックだけでは、車体を停止させておけなくなります。

そのため、オートマティックトランスミッションの内部、
バルブボディの流路を加工し、電磁ソレノイドで制御して、
1速ギアに接続して、駆動をアウトプットシャフトに伝達しつつ、
リバースギアにも接続して、両方向から正逆の駆動をかけておく、
それを電磁スイッチで解除することによって、
ロケットスタートを可能にする
というもの、ドラッグ“レース専用部品“です。



要は、マニュアルクラッチミッションで、
回転を上げて、ドンとクラッチを繋ぐのと同じようなことができるので、
最大トルク付近のトルクをスタートから使えるようになるというものです。

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写真のビレットのアルミブロックは、バルブボディに接続されて、1速、バックのクラッチ、ブレーキに
油圧、流路を切り替えるためのソレノイドがついています。

できたものを、あとから考えるのは楽ですが、
流路を解析して、どこがどうつながるのか、できてから、油圧がかかるのか、立ち上がりのスピード、
油量の安定等のために経路の孔径、距離等をベンチでテストしてというプロセスが必用です。

GMやフォード等のメジャー車両であれば、
米国では、ナンバー付の市販車、ロールバー無のクラスでも
大トルクのV8車両では、必然的に使われている部品で、
GMのオートマやレースグライド用なんかですと、通販でもふつうに買うことのできる部品です。

722.6は、クライスラー、ポルシェ、ジャガー他でも
使われているオートマなので、
GM、フォードから比べるとマイナーな米国クライスラー車でも、
すでに、トランスブレーキが
普及しているため、オートマコンプリートで市販されてます。

私としては、バルブボディとスイッチだけが必用なので、全体を買う必要もなく、
また、ベンツとクライスラーでは、インプットシャフト径が違う、
ベルハウジングもエンジンが違うので、当然違うため、
WH氏から購入することにしました。
現在、オートマベンチにかけて製作中ということなので、期待しています。
2017/02/26

722.6 NAG1 エボリューションプロジェクト (2)  ディスク、クラッチ増し増し、フリクション抜き 722.6 NAG1. Evolution Project (2) MULTI CLUTCH PACK 


もう少し詳しく書きます (笑)

722.6 W5A580は、ベンツだけでみても
何種類かありまして、モデルによってディスクの枚数が違います。
M119で見ても、4.2と5リッターではディスク、クラッチ枚数が違う部分があります

クラッチも、年式により、片面、両面の差があり、
また、何度も改良を重ね、2000年を境にローラーベアリングの追加や、バルブボディ他が変更されてますので、
ベースにするのであれば、2001年以降のもののほうが良いですが、
旧いものでも、内部の部品を交換により同等にバージョンアップすることもできます。


オートマのチューニングですと、良くおこなわるクラッチ増しについてですが、
722.6のM119 5リッター用モデルは内部のクラッチ、K1が  4枚 K2 が 5枚 K3  が 5枚 ですので、
クラッチ増しでなくても、バルブボディの流量確保の加工等やコンピューターのセッティング、油温管理ができていれば
400馬力、60Nm程度の、ふつうのM119 6リッターなら、滑ることはないと思ってます。

もちろん、パワーが出て滑るようであれば、クラッチを増す必要があります。
クラッチ面積も重要ですが、油圧や、
バルブボディの経路の抵抗、圧損、流量、切替のソレノイドや
クリアランスも大事です。

いうまでもなく、トルクコンバーターのオートマティックミッションにとって、
エンジン動力で駆動されるオイルポンプで生み出される油圧は、言われるまでもなく駆動伝達の源泉であり、
面積だけ増やしても、油圧が低ければ、圧着力は減るし、油圧経路での抵抗が多くても同じことです。
経路を切り替えるソレノイドの動作スピードや開度等や、クラッチ、ディスクのクリアランスも大事なので、
物理的に枚数だけ増やしても、根本的な問題解決にはならないのが難しいところです。

また、油圧を上げれば、それだけ圧損は増えますし、
クラッチを増やせば、その分、回転部の重量も増える、回転抵抗やオイルのせん断抵抗、どうしても引き摺りは増えますし、
ギリギリ、必要最小限というのが ベストではあります。

まあ、そうはいうものの、私は、挑戦の意味もありますので、ディスク増しを準備しています。

こちらは、鬼門の K3 (1,2、4、5速)

K3 6-7STL UPGRADE
 写真はダブルサイドクラッチディスク、薄いものを使って、6枚、スチールプレートが7枚と、各2枚づつ増やしてます。
 通常の5リッター用の722.6が5枚、S65AMGも 5枚ですから、それよりさらに+1枚追加してます。
 クラッチケースの内部を切削加工すれば、さらに、それぞれ +2枚 8枚/9枚まで増やせます。


こちらは インプットシャフトに繋がるK2(3,4,5速)

KS 8-9STL UPGRADE
写真はダブルサイドクラッチディスク、同じく、薄いものを使って、8枚、スチールプレートが9枚と、各+3枚づつ増やしてます。
通常の5リッター用の722.6が5枚、S65AMGも6枚と+2枚ですから、それよりさらに追加してます。

こちらは、サンギアのつく K1(2,3,4速)

K1 7-8STL UPGRADE

 写真はダブルサイドクラッチディスク、同じく、薄いものを使って、7枚、スチールプレートが8枚と、各+1枚づつ増やしてます。
 通常の5リッター用の722.6が5枚、S65AMGも6枚と+1枚ですから、それよりさらに追加してます。

もっとも、3-4速のすべりについては、バルブボディ加工や、バルブボディ交換で対応するのが多くの
チューナーには定石のようです。
シフトのスムーズさは、別モデルのソレノイド交換で対応するでもいいですし(あとで解説します)、
722.3のときのように、社外ケブラー製のクラッチや、
表面加工処理したディスクも有効だと思います。

ポルシェの996もこのオートマでしたが、おそらくポルシェの場合は
内部に手をかけているのか、コンピューターでのセッティングベンツもちろんあると思いますが、
ベンツの同じオートマよりは、シフトスピードも早かった、フィーリングも良かったように記憶してます。

こんなこと、毎日オートマ専門でやってる人からいわせれば、
当たり前のことなんでしょうが、門外漢から見ると、なんだかわからないので、
流用、チューニングの観点からまとめておこうと思います。
2017/02/08

722.6 NAG1 エボリューションプロジェクト (1) 再誕の序 722.6 NAG1. Evolution Project (1)

暦の上では、春、

722.6 NAG1 エボリューションプロジェクト

オートマのオイルパン作っており、時間がかかるでしょうから、
せっかくなので、その間に、722.6のエボリューションモデル、チューニングをしていきたいと思っています。

私の人生の経験では、”せっかくなので”という言葉がでると、結局のところ、機会、チャンスといいながら、
更に深耕を重ねて、粘着する傾向があります。
今回はそうならないことを祈りつつ、作業をすすめます

実のところ、当初は、モーテックフルコン後に、
OLE氏のスタンドアローンコンピュータをつないで、オートマを乗せて、あー動いた、動いた、
すごいね! で喜んでいました。

その後、独立スロットルの試験だとか、やれ、電動ウォーターポンプだとか、ダンパープーリーもだとかも、
”せっかくなので” 同時にすすめてましたのと、
何より、上がった馬力に耐えるために、新デフの搭載と、ドライブシャフト、ハブ、CV、プロペラシャフトに時間を要してました。



実は、言い訳のようですが、原因があります。

一番の遅延の原因は、チームエスコートの安藤さんが、ドラッグコースがないものだから、
周回をする、ランエボでHKSワークスのGTRよりアマチュアが乗って速くする。

WTACでたい、35GTRで世界記録だしたいなどというもんだから、
やれ、空力の風洞実験だ、いやコンピューター解析だ、レギュレーションの解釈だ、アルミブロックだ、
6-4チタンのボルトだ、GTR用のトランスデフミッションの新規製作だで、
実のところ、私もそっちのほうが面白いもので、シドニーにいったりで、優先度は下がって遅々としています。ほう




 いけないパターンです。
 このブログがあるから進捗管理、報告でモニターになってますが、
 ほうっておけば、室内で誇りにまみれる恐れありです。

 そんな、ヘアライン号の前にあるのが35GTRのレースカーベース、 
 屋根もCFRPでつくるので、ないです
 床もフロア上げて、車高下げるのでないです。 基本、レギュレーションでバルクヘッドは残すけど
 クロモリパイプでフレームを作る、 上にカウルを乗せるので、定盤の上にのっています。


さて、講釈、言い訳が長くなりましたが、
エグゼの722.6搭載、LHコントロールに刺激されて、このままじゃいんかん、
”せっかくなので”もう少し、きちんと詰めていきたいと 考えました。

良いトランスミッションが欲しい! 過去を振り返れば、雑誌に連載していたころの話ですので、
500E倶楽部編集後記22回
もうだいぶ前、10年も前の話になりますが、
722.3をえちごやでチューニングして乗せたことがあります。

何度か、ミナグチさんのオートマへの拘りは見ていましたが、
それに乗じて、もうこれ以上できないというレベルまで、当時できるだけのことを、突き詰めたのが
今が前に使っていた、722.3エボリューションモデルです。

一般的に市販の強化オートマで行われる、
V12のドラム流用と薄いディスク、プレートを組み合わせて使ったクラッチ増し、
バルブボディの加工、
バキュームモジュール、ハイストールコンバーターの交換にとどまらず、

オイルポンプ加工、ポンプ、ギアのバレル研磨の後、
各部のWPCによる強化、フリクション減、ロックプレート等の軽量化、

ディスクの面取り、ピストン、シリンダー、ケースの研磨表面処理等、ありとあらゆることをやっています。

そのおかげか、
製作したのが2007年の夏ですから搭載から10年以上、距離で約10万キロ以上、
ドラッグレースを何十本も走っても、いままでノートラブルで動いています。

その間、冷却系の改良、オイルラインのバンジョーを廃したローフリクション化
アルミフィン付ATFパンとモディファイをしていますが、その甲斐あって、
今から見ても、満足いく結果だったと思っています。 

ポイントは、正確な組み付けと、徹底したATFの温度管理、
フリクション減のなせる技です。


そんな究極系の722.3エボリューションモデルを味わってしまったものですから、
電子制御式5速にした、ロックアップがついた、
伝達トルクが上がった、丈夫になったのはいいのですが、

直結4速の究極の機械式AT比べると、
理屈からいえば、伝達効率が高いんだろうけど、機械損失が大きい、
特に、ロックアップ前のフリクションの多さには、正直、やや、がっかりしたところはあり、
どうせならということで、私も挑戦してみることにしました。

すでに、ミナグチさんなんかは、もう先に進めているのですが、後追いで、また違う角度から
追いかけていきたいと思っており、備忘のために記録します。