
高速を移動する自動車では、走行抵抗における空気抵抗が占める割合が大きくなります。
市街地中心の50km/hではさほど気にならない空気抵抗も
それが100km/h、200km/h、250km/h,300km/hとなると 話はまた別の世界です。
ドイツで日本のような大型ミニバン?が普及しないのは、高速道路での空力性能特性が悪いからだと
いいますが、私もそのとおりだと思います。
さて、発売当初では秀逸だったW124の空力特性も今となっては、特に目新しいものでもなくなりました。
いや、正確にいうと、当時のw124をベンチマークにして、どんどんライバルが進化したというのが
正しい表現だと思います。
コンピューター数値解析の飛躍的進歩もありますし、風洞試験設備や
同ムービングベルトの実験設備を多くのメーカーが
独自で持つようになったこと、燃費競争、環境負荷が厳しくなったこともあると思います。
馬力が同じなら、空力特性、低ドラッグが良いほうが早く走れますし、燃費もいいです。
前にも書きましたが、500Eは、空力特性がW124モデルの中では最悪です。
一つ目、大きくなったオーバーフェンダー他の前面投影面積の増加、
二つ目は、空気抜けが極端に悪いエンジンルーム
三つ目は、律儀なメルセデスの文法のおかげで、トランクルームの容量を確保するためと、
スペアホイール同サイズにこだわったおかげで、床下に追いやられた、
スペアホイールハウスです。
今回は、この三つ目のスペアホイールハウス。
メルセデス社は、ここの重要性を昔から知っています。
190Eのエボモデルでは、ここにフラットなカバーを装着して空気抜けを改善しています。
高速走行顧客が中心のえちごやでも、これを伝統的に改善する傾向にあり、
500Eの場合は、トランクフロアをカットする。フラット化する、デフユーザーをつける等する方が
多いです。
これは、空力cdだけでなく、空気をスムーズに後ろに抜くことでリアのリフトを減らすこと、
ラジエターの冷却効率を上げるためでもあります。
ヘアライン号の場合には、トランク下をカットして、
UCCHIでトランクデフユーザーを製作して装着してあります(過去記事をご覧ください)。
フロア下の空力の重要性 400Eの場合には、スペアホイール幅自体が狭いのでトランクカットまでは不要となります。
ただし、バンパーに巻き込む空気を抜くために、空気抜き、圧力抜きのダクトをつけてます。
高速走行をしている500E車をテールツーノーズで見るとわかりますが、
リアバンパーが広がるくらいの空気抵抗になっています。リアフェンダー内のカバーが
装着されていない、脱落している場合にはもちろん、目視でわかります。
そうでなくても、巻き込んだ風や、室内経由の風が、リアバンパーを膨らませます。
小型のパラシュートをつけているようなもので、ここの風を抜く、圧力を抜くことで
自動車の空気抵抗を減らそうというのが、ダクトです。
積極的に空気をスムーズに流そうというデフューザーとは、多少アプローチが違う手法です。
圧力が高くなって、流れを澱ませないように、抜くという手法です。
イメージでいうと、ピックアップトラックのリアゲートを、メッシュネットにするような手法ですが
結構な効果があります。
いわれれば、なるほどと思う、コロンブスの卵的なものです。まずはご覧あれ