2016/05/26

日産DLCのソリッドタペット

前にも書いたけど、
私の知りうる限り、日本で最初に市販量産エンジンでDLC加工のパーツを使用したのは、日産自動車



写真は、トライボロジー学会で昔、水素フリーDLC実用かとか、そんな話を聞いて、
試しに買ってみた日産のエルグランド用のソリッドリフター、当時は、片側だけ使ってました。

今では、35Rなんかだと、IN EX 両方使ってますね

三菱自動車の型式取り消しになる? 軽自動車でも、DLC使ってます。
おまけに、カムのトップにローラーベアリングまでつかってる。
まあ、ここの二社にはいろいろあると思いますが、それとは別に

これ、リフターの頭に穴あけてますよね
DLCかけているのは、頭頂部だけでサイドは無しです

穴はカムリフト時の空気抜きなのか、戻るときの真空予防なのか、
バルブスプリング、コッターの冷却潤滑用なのか、わかりません
穴あけるとオイル下がると思いますが、それとのバランスもあるんでしょうね

タペットのスカートやトップのエッジもRがついてて、量産モデルの安定度を感じます
2015/04/01

DLCソリッドタペット M119

日本は今日から新年度、こちらは、イースター休暇前の慌ただしさと、エイプリルフール。
 櫻の季節の卒業入学は、日本風の美学ですが、世界的には珍しいですね

 さて、





 写真は、DLC加工済のM119用ソリッドリフター

 カムのベースサークルが小さい加工用と、ノーマルベース用で2種類用意しました。

 すごーく昔、連載後半のカムの頃だか、DLCのタペットで
 お話しした記憶があるのですが、やっとできました。
 
 油圧自動調整のHLAは、製造精度の向上がなされた、今となっては時代遅れ、
 メンテナンスフリーを唄ったように聞こえますが、その実は、
 エンジンラインの生産性向上のために採用された技術であって、
 エンジン性能にとっては、メリットはありません。

 現代のエンジン部品の工作精度が向上したので、
 熟練工がシム調整なんかしなくても、
 カムとタペット、バルブシートの高さ、セット長が合うような寸法精度で作っているから、
 HLAがいらないんです。
 
 最近のトヨタのビッツのエンジンなんかは、そもそも、シム自体ありません。
 タペットと一体です。シートリングもなく、アルミに金属溶射です。

 こんな時代に、HLAをベースに考えた制約の多いカムを新規に作ることは、
 賢くないので、また、困難な道をゆく毎日であります。
 
 とはいえ、直打カムプロフィールの設計もしなければならず、
 ベースサークル小さくしたくないので、加工カムというわけにもいかずで、
 時間が過ぎ、そうこうしているうちに、残念ながらM119用に流用できる純正の2.3-16や2.5-16用のソリッドリフターが生産 中止になってしまいました。
 
 重量は、純正のHLAが旧タイプが重量級で82g(笑)。
 後期のHLAが64g
 ソリッドだと大幅に軽くなって、写真のように50gと45g。
 これにキャップタイプのシムが入りますから、少し重くなりますが、HLAもオイルが入るので、
 どれくらいになるでしょうか?

 一番重たいものと、軽いものの差は、37gこれが32個ですから、同弁系で1184g
 軽いものでも、608g

 これ、無負荷レスポンス上がるだろうな(笑)
 
 HLAと比べてオイル脈動でバルブを押さなくなるので、圧縮が良くなることのメリットもあると思います。
 
 HLA用のカムはプロフィールが、最初、油圧の押される分ランプがあって
 そこから立ち上がる、ゆっくり閉まるという特性で、ソリッド用では、当然に異なるので、そのままポンでは使えませんが、 カムの準備用に小さくですが一歩前進しました。


 ていうか、仕事がおせぇよ
2009/11/30

ピストンのDLC処理(1)




前回のM119用カムのDLC加工の画像につづいて、ピストン。

DLC加工をする前の処理として、平滑度や面粗度が非常に重要なので、カムはラッピング処理をして研磨したものをDLCしました。

ピストンは、アルミ鍛造素材なので、このままでは、DLCとの親和性が低いようで、下処理として、カーボン皮膜と親和性の高い素材をショットピーニングして(WPC加工)、バインダーとした上で、その上にDLC処理しています。

DLCの特徴として、摩擦係数が少ないのと、表面が剥離しても攻撃性が小さいというものがあり、アルミピストン×アルミシリンダーブロックというかじる、抱きつきやすい組み合わせでの効果が期待できます。

ピストン単体の写真(前掲)http://mercedesbenznetcom.blog81.fc2.com/blog-entry-33.html#cmと比較していただくとわかりますが、アルミの切削加工後のピカピカ度が減って、黒っぽい艶のない色、でもモリブデンコートとは違う、に仕上がっています。このDLCコート済みのピストンを、Alsil処理をしたシリンダーと組み合わせます。

表面のDLC皮膜は平滑で摩擦も少なく、しかも油持ちの良い形状になっていますから、これまでの鉄メッキと比較して、ローフリクションとピストンTDC位置でのシリンダーの磨耗も低くなることを期待しています。

どう?DLC処理のレインボーカラー焼けが格好良いでしょう!


wpcへのリンク

ERPピストンで御馴染みのエスコートへのリンク
2009/10/14

DLC処理のカムその2




こちらが、先の写真で紹介した、神奈川産業技術センター内の不二WPCの釜でDLC加工したM119カムシャフト。

不二WPC

神奈川県産業技術センター

先述のとおり、DLC処理には表面の平滑さがとても大事との加納論文を参考にして、表面処理の前にバレル研磨してあります。


今回は、カム部のみにDLC処理をしてあります。カムメタル部分にはマスキングをして表面処理が載らないようにしてありますので、色の差が良くわかります。黒い色がダイヤモンドライクコーティング、白っぽい色が地金です。 黒色のチル加工をとって金属の色がでていので、色の差がよくわかります。

理由は、色々あるのですが、経験のない処理なので、まずは実績のあるFe+DLCの相性を見てみたいという意味と、カム山のフリクション減「だけ」を比較してみたい、カムメタルの入らないヘッドとの面接触するジャーナル部のAl/DLC+Feにオイルの流体潤滑中心であるケースの相性はどうなんだろうという細かな理由等もあります。

本当は一度にやってみたいのですが、一度にやると、どこが良いのか、また悪かったのかわからなくなってしまいます。 
方程式はXが一つだとわかりますが、YやZの代数が更に加わると、解が複数~∞になって
しまうといった理由でもあります。

 過給でないから、蝸牛の歩みですね

 オイルも出光のDLC対応のものを使うことになるんでしょうね...って、でも今のエンジンの油膜、クリアランスの設定が、40Wだから、その粘度のDLCオイルなんて果たしてあるんだろうか(笑)
  GTR用でいいのかな?省燃費だと、0Wとか5Wですよね(汗)

 とり急ぎ、現在のチル加工のAMG製のカムから、DLC処理のAMGカムに換えて、DLCのローフリクションだけで、どれくらいの効果があるのか、結果はおってご報告します。

 しかし、L型やメカニカルタペットのハイリフト、四角いカムを見慣れた人に言わせると、写真のAMGカムのは、ショボイ、もとい、おとなしいカムだなという感じです。

 
2009/10/09

DLC処理のカム


 
写真は、DLC処理をしたM119用のカムシャフト(約5年、数万キロ使用後の状態)。

ダイヤモンドライクコーティングの開発は、無重力の宇宙空間での固体潤滑、つまり無重力状態で,
分子間張力によって油が球になってしまい油膜ができずらい状態になったときに、油膜、オイルに頼る流体潤滑でなく、動くもの自体に潤滑を求めたわけで、もともとは地上の1Gの自動車で使っているオイルによる流体潤滑ではありません。

 ただ、そうは言っても、ある状態、極限状態では、油膜保持が困難になる場合もあり、その場合には瞬間的には固体潤滑とならざるを得ないケースも出てくるわけです。
 具体例では、カムプロフィールによっては極度に面圧があがるカムや、ロッカーアーム、タペットといった動弁系や、ノッキングや振動その他の事情によって、油膜保持が困難になることもある、ピストンピンやコンロッドの大端部などが、その例に挙げられます。

 その時に有効なのか、いや、流体潤滑であっても油膜形成、保持能力が高いとして有効なのかは、難解なトライボロジー学の分野で、私のような社会学系の門外漢には荷が重いのですが、他の自動車(特にF1等)に応用されていることを(無謀にも)、待乗りのド中古のオンボロ外車に応用してみる。
 そのために、関係の論文を見て検討する、特許明細を見て検討する位のことは出来ます。

 毎日乗るから差もわかるし、NAなので、過給に頼れない、不人気車なので、そもそも部品がないといった利点?を活かして、フリクションを減らすために、部品を加工します。
よく言えば、「チューニングの基礎」ですね(笑)

 それで、調べてみると、DLC加工前の面粗度がとても重要なようで、△△△~△△△△程度の平滑度と仕上げが必要のようです。

 これは、推測ですが、凸凹のままですと、ダイヤモンドライクコーティングならず、ダイヤモンドやすりになるということでしょうか。
 もっとも、ダイヤモンドライクカーノン皮膜が剥離しても攻撃性が少ないといったアモルファスではあるようですが、感覚的に平滑であることの大事さはわかります。

 それで、写真のカムではないですが、私のカムはDLC皮膜を形成する前処理として、バレル研磨して表面粗さを整えてあります。エスコートさんでお願いしました。宮野さんの手仕上げによるラッピングもついています。

 それと、DLC前に、表面のチル加工を焼いて取るといった作業も必要なようです。

 写真のカムは、きれいに黒色皮膜が出来ていますが、面圧があがるカムのトップの部分は多少剥がれのような色の変化が見られます。
 モリブデン溶射したようなものでは、同じ位の条件で皮膜が全部なくなって銀色に光りますから、それよりは大分改善されてるのかと思います。

 今回のエンジン仕様では、カムとピストンピン、コンロッドスラスト部、バルブステム等にDLC処理をやってみたいと思っています。

 やっと私のカムも処理が終わってきましたので、次回アップしたいと思います。