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2019/06/24

パッケージング優先の アンバランスさ について (2)  偉大な実用車としての堅持

 セルシオとの500Eの比較で、M119 V8エンジンが W124に搭載されることになった切っ掛けを
 マーケット状況のことを踏まえて、前回、まとめてみました。

 ライバル、好敵手、競争相手がいるから、マーケットで競争が始まる、競争の結果より良いものができる

 私が思うに、セルシオがなければ、W124、500Eは産まれてこなかった のだと思っています。

 そんな 例と、神の見えざる手、
 
 そして、消費者が常に正しい判断をするとは限らない こと、
 後世、中古車マーケットで評価されることと、新車販売はまた別なこと等を書きました。
 
 それで、読者から、個別に、お問い合わせをいただきましたが、

 私は、”スポーツセダン”とか いう だれがつけたかわからない
 陳腐な言い方、安っぽい言い方が嫌いなだけで、
 別にこの車が殊更に嫌い、極めて低い評価をしているというわけではありません。

 過去に、この車の魅力、良い点、欠点、改良すべき点等 について つらつら 
 書き連ねておりますが、
 「趣味性の高い実用車」であると思っています。

 私の思うに、ダイムラーベンツ社がもつ強い方向性は、「パッケージング優先の車づくり」です

 当然、当時の主力車種のミディアムクラスは、パッケージング優先、
 大人5人が快適に乗れて、荷物も充分に運べる、時速200Km/hで巡航できる 
 もちろん、4気筒モデルでもそれが可能な優れた車でした。ミドルクラス、後のDセグメントの
ベンチマークになる車であったと思います。

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 昔の 北米のカタログ資料見返してたら、こんな画像がありました。
 ロアアームの中心より、前、ハブより前にV8エンジンの中心が鎮座しているのが良くわかる透視図です。

 私が言う、”駅弁”マウントです。

 大して、ボンネットの中側に大きく入り込んで、トランスミッションのベルハウジングがあるのがわかります。

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 なんで、こんなことをしたかというと、基本設計がもともと4気筒であったことと、
 空調機器、エアコンのエバポレーターや大型のシロッコファンを、バルクヘッドのエンジン側におくことにより、
 室内容量を大きくしたこと、特に助手席足元の広さは、シロッコファンやエバポレターをエンジン側に追いやったことによる
 領土獲得の結果だと思います。

 左右の開いたスペースには、伝統的にフカフカのブレーキ、巨大なマスターバックと
 助手席側にはバッテリー(8気筒ではトランク)を鎮座させてます。

 荷室容量も金科玉条で確保したいですから、バッテリーもエンジンルーム(8気筒はトランク)で、
 スペアタイヤはフルサイズ、500Eになって幅広タイヤになっても、荷室確保優先で、
 空力が悪くなるのを知らなかったのか、もしくは、知ってても、
 あえて、荷室優先で、下に出っ張らせて、トランクはフルフラットに仕立ててます。

 ここらへんは、メルセデスの融通の利かなさ、パッケージ優先の金科玉条でしょう


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 北米モデルのウインカー、後期になって、米国でも異形ライトが解禁されてます。
 バンパーのナンバーデリートパネルが 北米モデルらしく、カッコいいですね


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 エンジン全体と、スピンドル、ハブの位置関係が、良くわかる図です。
 重たくて、重心位置の高いエンジン、フロントの荷重増に対処するため、
 太くなったスタビライザー、フロントのショックアブソーバーにはリバウンド用のスプリングを加えてます。
 ポルシェがしたといっても、その程度のセッティングか(笑)という お話しだと思います。

 その分、前軸荷重が大きいですから、重量に頼った高い、高速安定性、
 セダンの宿命で高速でフロントリフトが起きても、前軸重量の多さで抑え込む、高速走行の安定感は、
 w124由来のキャスター角とあわせて、秀逸です。

 その分、当然に、タイトコーナーワインディングは、ホイールベースの長さと、
 ロール過大、ぐらりとくる、収まりがつきづらいと
 苦手なわけです。

 フロントのエンジンファンは、オフセットされて、助手席側、エンジン回転と反対の逆回転で、
 バランサーの役割もあります。エンジンファン外すと、エンジンのザラツキが感じるのはそのためです。
 M117より、ここは進歩してます。
 
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 リアのマルチリンクサスペンションは190Eゆずり、トレッド幅が広くなったのに、アーム長さが一緒だから、
 190Eほどの、動きのしなやかさは少なく、当初は評判がわるかったと記憶してます。
 
 そのためか、W203、W210になってから、タイロッドリンクの長さ、取り付け位置を、変えています。
 
 ちなみに、W124 後期モデルで、リンクのボルト類がM12からM10にサイズダウンしてます。

 500Eには、ワゴン譲りの油圧レベライザーが、エンジンタンデムポンプで駆動して装着されています。
 こちらも、セルシオのエアサスに対抗してと思うと、納得がいきます。

 無断引用や広報報道のうけうりで程度の低い”ゴっちぁんライター”が書いた記事みますと、
 巨大トルクに対応するべく、油圧レベライザーにしたとか書いてありますが、大笑いです。

 2.82のファイナルに2速スタートで、1730キロの巨体では、M119のトルクは、別になんてことありません。
 セルシオのエアサスに’対向してのギミックプラスアルファでしょう

 レベライザーは、姿勢維持(車高)には効果的ですが、
 走行、空転時のトラクション維持を考えたら、沈みこませて、リア荷重を前後ロールセンターで
 出して、LSDで掻いて進むのが定石です。ドラッグレース、荷重移動考えればわかることです。

 

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 上から鳥瞰で眺めた 500E  やはり、端正で美しい姿です。 
  Eセグメント車が巨大になった昨今では、このサイズの車が少なくなった、
 Dセグメントの Cクラスのサイズの大きさが 取り回しがよいので、この車の魅力の一つでもあると思います。



2019/06/21

M119 エンジンのタコ足 ボルト角度に注意(21)  M119 Header Bolt Angle is not parallel !


 しばらく、時間が空いてしまいました。
 以前、備忘のために、書かなければと思っていた M119のタコ足について、
 ブログでも記載しましたが、M119ヘッドは、フランジボルトの角度が並行ではありません。



 写真をご覧ください。
 私も、何度もヘッダーや、純正のエキマニを脱着していますが、
 お恥ずかしながら、
 えちごやのミナグチさんに言われるまで、気が付きませんでした。

 実際に、自分でやる人と、理屈ばっかりこねてる私との決定的な違いだと思います。

 さて、写真では、ご覧のとおり、
 ガスケット、エキマニのフランジ面に下のボルト、ブロック側ボルトは垂直にたっていますが、
 上側、ヘッドカバー側のボルトは、下向きに角度、降角がついています。

 1UZとの比較のところで、「頭でっかち」と酷評した、ヘッドのデカさ、エキゾーストカムの”オーバーハング”
 ”ひさし” ”軒”が に大きい、
 ボルト長分、外に膨らんでいるのが 良くわかる写真です。
 4サイクルエンジンですから。
 クランクシャフトからのチェーン駆動で、カムギアは1/2に減速されて、駆動される、その分直径が大きくなる。
 シザースギアだったら、直接カムギアとカムギアがかみ合って、一個のカムが動くのに対し、
 2個の大きなカムギアですから、バルブ挟み角度が一緒でも、その分、ヘッド上部が大きくなるM119の
 構造上の宿命です。

 加えて、チェーン駆動の場合だと、チェーンの高さと チェーンの暴れにたいしてのクリアランスを設けるので、
 さらに大きくなります。


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 この写真、フランジ面のボルトの上側、手前を見ると、タップ角度に降角がついているのがわかると思います。
 M119にしても、M117にしても、ヘッドボルトもこんなようになっています。
 なぜ、そうしたのか、角度をつけることにより、締付による密着度を上げることを狙ったのか、
 もしくは、ポート角度や、エキゾーストバルブ近辺の冷却水通路の構造上の理由なのかもしれません。

 ここらへんは、もうすこし調べてみようと思います。
 
 なので、タコ足のフランジ、ボルト穴を並行にあけると、ボルトがしまりませn。
 三角関数 挟角と高さの分、ボルト穴がずれます。

 それが良くわかるのが下の写真

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M119 エンジンのタコ足(13) 米国 NYCから(2) W124 500E M119 Headers from New York City (2)

 以前、米国の分割式のタコ足のときに紹介した画像です。
 おそらく、相当、アメリカ製V8で経験値の高いビルダーの作品なんでしょう
 エキゾーストマニフォールドフランジと、エンジンのポートのずれを嫌ってでしょう、
 ギリギリの寸法でエキマニのボルト穴をガスケットに合わせて、あけて製作したんだと思います。

 上にも書きましたが、ボルトに降角が付いているので、ガスケット側と、フランジの外側だと
 穴の位置が変わってきす。

 普通、フランジつくるときに、そのボルト穴はフランジから垂直 90°に空けます。
 そうすると、ボルトがネジにかからずしまりません(笑)

 その結果、こちらの米国製タコ足は、なぜか、下側、ブロック側を削って、
 大きく長穴をあけて、オープン長穴にしてまで、拡大して締めこんだんでしょう。

 もしかすると上のボルト穴も拡大しているようにも見えます。

 これ、車載でやったんだとしたら、狭いエンジンルームの隙間に手を突っ込んで、
 ミラー突っ込んで、苦労して、ボルトがかからず、イライラした様子が目に浮かびます(汗)。

 エンジン降りてたとしても、相当焦った、慌てたことと想像します。

images m119

こちらが、ヘッド、エキゾースト側の画像です。
この写真の角度だと、カムの分の”ひさし” は さほど目立ちませんが、

クランクシャフトの2倍の直径のカムギアの分、チェーン高さ、暴れのクリアランスの分
テンショナーに向かう角度分、カムジャーナルの部分から数センチ横にヘッドが飛び出て、
シュモクザメみたいになっているのがわかります。


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こちらは、4気筒、8ポートのフランジが良くわかる、ヘッドカバーのオーバーハングが大きいのが良くわかる写真です。
これ見て、ガスケットにあわせてフランジ切り出して、ボルトがスラントになってること気が付けってほうが酷だと
思います。

ヘッド眺めると、純正のエキマニが熱膨張に対応した3分割方式であること、
”5-6・7-8” 右バンクは”1-2・3-4”であることが、スタッドの配置からも良くわかります。

これ、つくるのが大変なのが、いまさらながらわかるお話しです。

2019/06/16

トヨタのV8 32V 1UZエンジン とM119

下の動画は、メインターゲットの北米市場向けのコマーシャルフィルム動画、
シャシダイナモにセルシオ・レクサスをのせて、エンジン、フルに
動かしても、上に乗せた、シャンパンタワーが崩れないってのをアピールする動画です。



前項でも書きましたが、
安くて、お得、壊れない、燃費がいい、トヨタ、日本車のイメージを塗り替えるために、販売チャネルまで変えて、レクサスとして、
高級路線でいくことにした大挑戦、シャーシとエンジンまで新開発した、トヨタ50周年の意気込みが感じられます。

それでいてお値段は、高級モデルでも、国内価格

C仕様Fパッケージ  6,200,000円

型式 E-UCF11
全長×全幅×全高 4,995×1,820×1,400mm
ホイールベース 2,815mm
エンジン型式 1UZ-FE
最高出力    260ps/5,400rpm
最大トルク   36.0kg・m/4,600rpm
種類  V型8気筒DOHC32バルブ
総排気量  3,968cc
車両重量  1,790kg

10モード/10・15モード燃費 6.7km/L

こりゃ売れるわね、

素のw124、4気筒、6気筒モデルと比べて、全長で約25センチ、幅で8センチ大きく、
ホイールベースで1.5センチ大きい

並べてみると、セルシオのほうがはるかに偉そう、要は押しが効く、

そんなこともあり、側面衝突や、セルシオへの対抗で、
w140やw210が巨大化(あとから悪評判となった)した影響も、
”源流”は、ここらへんにあったんだと思います。

前回お話したM102が 2.3L. 135馬力 6発のM103が 3Lで 185馬力 
単カム2バルブ とかいってるときに
V8 32vで 260馬力ですから、とても勝負になりませんでした。

W126の560SELの欧州並行のM117 大排気量の 5.6Lでこそ285馬力、
米国モデル、おおくのD車は、せいぜい245馬力でした。
しかも機械式オートマで お得意の1速はスーパーローだから、2速発信
減速比は2.65とか2.83 のハイギヤ―ド

当時得意になってヤングエグゼクティブを気取って、
けっこう 無理して乗っていたW126 560と
府中の30m道路での、よーいどんでは、セルシオのほうが、クルマ何台分も
速かった(笑) のっぺりした 大きな テールを拝んだのを覚えてます。

まあ、そんな状況でした。ユーザーにしてそうですから、欧州メーカーでは、
それ以上の、衝撃で、試験用に急いで、先行発売した北米市場から買い込ん
で空輸して 検討した という話も聞きました。

そこから、30年立ってみると、国内では初代セルシオは、素性の良さもあり、
ヤン車、VIPカーとして、中古車市場でも高く評価され、弄り倒されたので、
ほとんど見かけることもなく、残存車率でいったら、圧倒的にw124のほうが多い、
残存市場の評価では、往年のベンツのほうが高かったということになります。

今になっては、そんなことを覚えている人も少なくなってきたので、
新車時は、それがひっくり返る位の衝撃でしたことを記憶としてかいておきます。

おどろいたといえば、搭載されていた、1UZのエンジンで、
制御はたしか、気筒別シーケンシャル、対して、我がM119のKEは 全気筒同時噴射(笑)

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その何年後かに、あわてて500Eでおなじみ、
LHになったボッシEV1世代のM119は、ようやくグループ噴射、

ロムいじればわかりますが、つまりは、ecu コンピューターの演算速度がおそい、
おまけに、容量がすくなくて、
8気筒だと、気筒別の制御、細かいマップ製作ができなかった。

気筒別シーケンシャル制御になったのは、M119では、次世代のW210とかW140の時代、
R129の後期になってからです。

当時、あんまりにきなったので、エンジン解説書(昔は書籍形式で売ってました(笑))
トヨタ共販から 買って見てみたら、

お得意のハイメカツインム、
シザースギアつかったDOHCで、エキゾーストとインテークのカムの回転が逆だから
コグドベルトで片方のカムだけ駆動すればいい、コンパクトなヘッド。
見慣れた 頭でっかちの、M119と比較するの頭の小ささが良くわかります。

おまけに、表面処理したアルミリフターでした。しかも、男のインナーシム方式です。
これであの静粛性ですから、ヘッド廻りの加工寸法が相当、向上したんでしょう
このころからですかね? カム、タペットの摩耗とシートの摩耗進行を同じ位にして、
タペット調整なんてことが ほぼ  いらなくなったのは、

このころ、すでにレーザークラッド溶射方式のヘッドで、バルブシートそのものがなくなって、
ヘッドに金属溶射になっているエンジンもトヨタにあったと思います。たしか1uzは違ったと思います

しかも、最初から、北米市場狙い、ガスガズラー対策で排気量を4000に抑えてる

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ヘッド部の小ささを活かして、バンク内に長い吸気管を組んで、お得意の可変吸気です。
吸気バルブまでの前をできるだけスムーズにして流速稼ごう、慣性吸気を邪魔しない
でも、タンブル強める 工夫が見えます。

インテークポートも M119より大きいですね

頭小さくした分、エンジン幅を押さえられるので、排気管もM119のものより、ポート出口から90°曲げる方式ではなく、
5cm位は、伸ばして集合させてます。
実車はこれにステンレス製の遮熱カバーがついてたと思います。

あとから追いかけて作った利点はあるのでしょうが、とても、良く出来てると思います。
アメリカでもチューニングベースで高く評価されて、1UZの
コンロッドやカム、ピストン、クランクが普通に売ってるのは理解できます。

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カムの山じゃない、部分、面圧かかってないので、接触面積減らして、フリクション減らすために、
カムジャーナルの幅 細くしてるんですよね。
くそ重たい油圧式のタペットで、常時油圧掛けてフリクション増し増しの M119見たあと、
インナーシム方式、アルミ製の軽いリフターに、このカム山みたときは、こりゃ やられたなと思いました。、

M117の発展系が、AMGのコスワースヘッド、その焼き直し、改良版がM119なら、
それを参考に写したのが 日産のVH45 トヨタ流の文法で組み立て直したのが 1UZでしょう

フォードのV8 DOHC コヨーテが出てくるのは このだいぶ後になりますが、
ここにも、M119の痕跡は 感じられます。 

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トヨタ流のアレンジ、
技術解説書見たら、
燃焼室、ピストンみたら斜めスキッシュで、さすがだなーと思いました。

ハイメカツインカム、バランサー効果もあるのか、タイミングベルト駆動の由来もあるのか、
静かでしたね、ボート持っていて、船遊びをしてた頃、1UZ 2機掛けのエンジンのヤマハの
モーターボートは、 抜群に静かだったの思い出します。

シャーシも新設計、エンジンも新設計、
莫大な設備投資かかるから、普通、両方いっしょになんかやらないんだよね

ベンツ100周年で出来た w124も エンジンはw123,201からの転用だったし、
外装は空力特性向上したけど、ストラット、マルチリンクのサスペンションもw201とほぼ共通、
なのに、トヨタは、まあ既存のブレークスルーだからしょうがないんでしょうが、高級路線のために大転換したんでしょう

まあ、見事です。さすがトヨタ50周年

シャーシと、エンジン専用設計で、いっしょにつくったから、エンジンとデフなんか、まっすぐだし、
ベンツは、ドライブシャフト共通にするので、リングギア分、オフセットしてるのを、
ドライブシャフトの長さ左右で変えて真ん中に持ってくる、
ホイールベアリングなんか、あたり面最初から磨いてあったし、
プロペラシャフトのバランスウエイトなんかも、ベンツよりすくなかった。

こりゃ振動少ないわけだと思いました。
動画じゃないけど、シャンパンタワーほんとにやった奴がいまいした。

500E、w140でもm119じゃ無理です。6リッターほどじゃないけど、特定回転でザラツキでますから
シャンパンタワー倒れるでしょう

まあ、そんなことしてた割に、後世で車が残らないのは、因果なこと、
禍福は糾える縄のごとし、塞翁が馬でなにがどうなのかはわかりません。

もしかすると、偉大なベンツは、後世に残すことを期待して、
わざと 手のかかる不良品、修理に手のかかる車をおつくりになったのかもしれません。

そんなわけないと思いますが、
製品として優れていることと、後世で残ること、評価されることは別なんだなと
改めて感じます。

自動車メーカーにとって、評価の尺度は、圧倒的に新車販売台数であり、
そのためには、新しい車を買ってくれるほうがありがたい、絶対にありがたい。

修理して、直して、長く乗る、ユーザーよりは、新車販売台数に繋がるほうが経営者の
評価、株式マーケットの評価としては良い、それに傾注するということなんでしょう

そんななかで、数万点にもおよぶ、部品が製造販売中止になったものが増えたとはいえ、
まだ供給されているということは、ありがたいことです。
 






2019/06/06

1989 30年前の セルシオショック と 500E に M119 Engine DOHC V8が搭載された理由 ーパッケージング優先の アンバランスさ についてー

W124のパッケージングは、このクラスの4ドアセダンの乗用車としては、
ベンチマークとなるほどの完成度、とても、すばらしいものです。

すでに35年前の段階で ほぼ完成形、その秀逸さ、安全性(プロパガンダの神話)を含めて、
現代につづく、後の他車のベースとなっているのは間違いありません。


コンパクトモデル 先代W123の4気筒モデルをベースに
乗用スペース、居住性、利便性、安全性を優先し、ブラッシュアップした乗用車として設計し、
W123やW201の例にならい、既存の6気筒も載せられるようにしたものです。

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 前期モデルのw124 大きなグリル、
 サッコプレートのないサイドビューや、16孔の鍛造ホイールは 
 スラントた異形の大型ヘッドライトと、当時としては秀逸なエアロダイナミックボディと
 あいまって、今見ても美しいです。


これに強引に8気筒 M119エンジンを乗せることになったわけですが、
この理由、主要な理由として挙げられるのは、
なんといっても、1989年に発表された我が国のトヨタ自動車の金字塔、
「セルシオ」です。

今から30年前ですが、当時は、「セルシオショック」とも言われていました。

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トヨタが、海外マーケットで勝負できる高級車路線に挑戦するために
莫大な費用をかけてシャーシ、エンジンから設計した新型車、

セルシオ、 

海外では、レクサス、
米国の自動車産業の拠点で1月のデトロイトショーでお披露目して、
同年日本は10月発売、

当時のことは良く覚えていますが、
国産初のV8DOHC32バルブ、比類なき静粛性と質感に高い走行性能

米国や欧州でのベンツ、BMW(当時はアウディやVWは高級車じゃなかったと思います)、
リンカーンやキャデラックよりはるかに高性能のドライバーカーで、しかも値段は、
マルク安だった頃の、W124の並行車よりさらに安い。
テレビまでついてて、エアサスモデルもあり、トヨタお得意の満艦飾、
w124と比べるのが失礼に思える位の出来でした。
ショールームでのアピアランス比較は、低グレードカローラと最上級のクラウン位の差を感じました。

もちろん、ユーザーのみならず、自動車メーカー全体に与えた影響は計り知れないものでした。


 ドイツ車では、
運転手のショーファードリブンでしたら、その上のモデル
W126のSクラスには伝家の宝刀 M117のV8、AMGモデルにはDOHC4弁モデルが
ありましたが、セルシオは、それに比類する高級感でした。

その下のグレード、台数が売れるであろう主戦場のドライバーカーのEクラスや5シリーズは、
シングルカム4、6気筒モデルでしかなく、そのクラスにトヨタは数見込んででのことでしょう
あざとく、内外装豪華にして、V8DOHCのせたてきたから、ベンツ、BMWはたまったもんじゃありません。

少し前にトヨタが打ち出したフルモデルDOHC
大量生産でコストダウンをして、なんでもかんでもDOHC戦略、
4,6,8,12気筒フルDOHC、
スターレットからセンチュリーまでDOHC

この前では、性能的には充分であっても、

メカニカルな響きに弱い、世界の男性、購買層の「雄」 ♂ のユーザー層からすると、
単カムは、前時代の製品に見えてしまう、すっげー 見劣りする。

たしかに、せいぜい6000回転強
長いチェーンで、高回転廻せない トルク型エンジンでも、環境対策や燃費規制考えれば、
ペントルーフの4弁のほうがλ1燃焼には都合がいい。

ということで、あわてて、欧州勢も、
既存の6,4気筒ブロック、エンジン設計をもとにDOHCヘッドを乗せたんでしょう。

V8 M117でも、同じことで、
あれほどもてはやされた、アルミブロックのM117が急に、
セルシオと比べると どんくさく、古臭く思える。
それはそう、高嶺の花のAMGのハンマーモデルが 日本中のトヨタディーラー網で市販されたようもんですから、
あたりまえです。

そんな経緯もあって、できた、もしくは同時に開発が すすんでたM119
W126は、セミトレの脚ではさすがにふるく、フルモデルチェンジも控えてたから、全面降伏で見送って
W140で搭載、12気筒を積んで勝負、

M119自体は、その前に、販売少数でチャレンジできる129SLに搭載、
ベンツ流の市販車でのライン、テストの常道ですね

その後、セルシオへの対抗でW124にもV8載せないとだめだっていうので、
無理やりのせちゃった、
製造ライン改造もできないから、当時は、つぶれそうなポルシェのラインを安く請け負わせて、製造、

その結果、狭いエンジンルームに頭でっかちのDOHCヘッドが左右、補機も一杯で、重いだけでなく、
冷却通風まで わるくなったってことなんだと思います。

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 エアクリーナーボックスの形状とシルバーにわざわざコスト増でも塗り分けた
 スリーポインテッドスターのおかげで、一見、カッコよく見えるエンジンルーム

 ところが、ストラットの前にエンジンの大部分が出っ張ってるのを、二重の遮蔽壁で上手く
 胡麻かしてる(笑)

新型エンジン搭載して勝負するW124もW210へのモデルチェンジ開発と
マイナーチェンジ案が、すでに相当進んでいた時期でしょうから、
新エンジンの冷却性能試験まで、さほど、力入れた形跡はなく、
おっつけで、V8のせて、差別化でオーバーフェンダーで化粧、ホイールを当時は、500E専用で
8孔で新造して 外観アピールと した感は正直否めません。

そのツケの一つが、熱こもり、水温があがるってことになってます。
その前のR129やその後のW210やW140では、ここまでひどくありません。

この理由、秀逸といわれるパッケージングから考えてみるとわかります。

全長、室内寸法がきまっているから、必然、エンジンを前にださなきゃならない。
その結果、でっぱったエンジンは前に出ていってラジエターとの隙間が狭くなる。
ほとんどなくなります。4気筒なら、まだいいけど、長い、6気筒、8気筒は、

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小学生がランドセルを前に背負う、腹側にもっている状態、
駅弁売りの売り子が 走ってるようなもんです。
(みなさんわからないと思うので駅弁画像、追加しました。英訳が難しい(笑))

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これはレストア中の500Eのエンジンルーム画像ですが、位置関係ここがよくわかるので引用します。

ストラットより、約20センチ位前に、溶接クロスメンバーにのっかった、エンジンマウント位置があります。
M119のブロックのマウントへのステーアームは中央部にあるから、ブロック半分、
カムチェーン駆動やWP、補機、ファンをいれると半分以上、約2.5~3気筒分がオーバーハングにでっぱります。

エアコンのエバポレターのスペースやダッシュボードを後ろに下げられないから、
居室優先で前に追いやられた、こうなったんでしょう

その結果、V8だとエンジンの半分以上前がストラットより前にあります。
キャスターついてる分を引いても、
前のめり、前荷重の理由がよくわかる写真です

対して、綺麗な写真が みあたりませんが、基本設計の4気筒

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 ブロック長が短く、オーバーハングのでっぱりが少ない、20cm以上後退していて、
 エアセパレタータンクとウォッシャータンクの間にヘッドカバーの先端が収まります。
 ファンシュラウドの長さ、ラジエターからの距離も余裕があるので 冷却風の抜けがいいはずです。


素の4気筒の124が前荷重が少なく、バランスが良いといわれるのは、基本設計が4気筒であったことに
よるものでしょう、
写真のエンジンの搭載位置、構造見るとその通りだと思います。

V8の全長は6気筒より短いものの左右のオフセットがあるので実質5気筒、チェーンや補機考えると2気筒強が
オーバーハングにぶら下がっている有様です。
そりゃ、エンジンマウントへの依存度、負荷が強く、左右のエンジンマウントが消耗品となるわけです(笑)


さて、比較のため

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直線だけしか走らないフロントエンジン、FRのドラッグレースでも、
運動性能、トラクション考えると、基本、フロントミッドシップです。

最前部のピストンのプラグから2インチ後退させるのがレギュレーションの後退限界で、
でも、ここまで下げるのがスタンダードです。
M119なら 1番ピストンのボアギリギリが フロントホイールの真ん中くるセッティングです
要は、エンジン ブロックの95%がスピンドルより後ろ、
でっぱった チェーン駆動部やクランクプーリーもホイール内にあるセッティングです。

500Eにおきかえると、エンジン25センチ位さげないとこうなりません(笑)

これみると、雪道では、FF車、軽トラにまける訳わかります。
そりゃ、500E、に限らず、W124はリアのトラクションがかからない、リアが喰わないわけだよね(笑)

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こんなことに気が付いてからか、それ以前からか、私は、
500Eのことを とても、「スポーツセダン」とか、呼ぶことに いささか恥ずかしさを感じてしまい、
とても、できません(汗)

なので、エンジンルームも あんまり人前で明けない、

ボンネット直立で高速道路のパーキングに止めることに
抵抗がでたのも、このせいかもしれません。

なんか、でっぱった太鼓腹のたるんだ親爺がチビT着て 暑い暑いといって、
腹をめくって 涼んでるように感じてしまうようになったような見苦しさ、
中国の夏に良く見かける、”北京ビキニ”みたいなんで、
同じく、これも躊躇してるところであります。

7bd90daa.jpg
これも追加しました、夏に中国いけば目にする”北京ビキニ” 最近は爆買中国人もおおいから、国内でも見られるかもしれません



クルマも、自分の身体、健康含めて、美しくありたいものです。

さて、直線だけのドラッグレーサーにして、こうなんですから、

サーキット走ると、このできの悪さ明らかになって、運転しても、ちっとも面白くありません。
箱車でも、1600ccのシビックや、w201の2.3-16のほうが楽しいし 速いです。

自重依存の高速安定性、空力特性でリフト感は少なく安定しているけれど、ひとことでいうと、鈍重、
カーブの連続する 切り替えしのある
サーキット走行だと重量に加えて、前バランスの運動性の悪さが如実にでてくるというのが真実だと思います。

そうなると、重たいV8エンジン重量に依拠するメリット、ハイキャスターにともなう、直進安定性や
リフトへの抗力にもなるメリットを発揮するのは、
やっぱり、ゆるいカーブと直線が連続する
都市間の高速道路での 高速巡航となる理由は ここらへんからも来てるんだと思います。

必然、高速道路での倍速超の運行が、陸の王者たる本領発揮で、楽しいとなるわけです。


しかし、最近の一億総コンプライアンスではもう昔話になりつつあります。 
30年前は、こんなことが許されたんだ、俺も若いことは悪かった等と、

オヤジの武勇伝のごとく語って、
気が付くと、実は、馬鹿にされてる時代になりました(笑)




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2019/05/31

500E倶楽部 ブログ10周年 10YEAR ANNIVERSARY

CARBOY RETURNS2 に広告なんぞを出稿したのがきっかけで、
大昔のCARBOY世代の友人から連絡をいただく機会がありました。

当時は、ロータリーでRX3(S102A,S124A)やSA22Cに乗ってましたので、
そういうイメージが強かったようで、ベンツ乗ってるのが意外だって言われました。
丁寧にブログ読んでいただいたようで、10年もやってるんだねーと言われました。

言われてみれば、このブログを始めたのが2009年5月だから、確かにもう10年です。


s新生ヘアライン号[2]

 この写真は、雑誌連載中、外装のレストア、前後ガラス、外装品、モール等を全部外して、
 ナヤリットシルバーで 全塗装したときの写真、雑誌ではつかわなかったかな?

その前に、GERMANCARS誌に「500E倶楽部」のタイトルで連載開始したのが
2005年7月ですから、もう14年も前のことです。

中古車広告主体の広告代理店が、下請けの雑誌編集プロダクションと作った、
外車中古車雑誌だったので、ほとんどが提灯記事だったり、借りポジ(メーカーからの提供データー)や拾い記事で
お世辞にも、決して質の高い類の雑誌ではなかったですが、
その分、編集方針みたいなものも寛容で、基本、毎月4P枠で自由にやらせてもらってました。

DSC_0302 (3)

 こちらは、連載後期、FRPのダクト付ボンネット、UFCDアンダーカバーを装着して、熱対策に一応の成果を得たあと、
 まだカーボンルーフになる前、その前哨で作成したドライカーボンのサンルーフがついています(笑)
 さすがに敏感な私も、この程度の重量変化ではわかりませんでした(汗)

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 同じころ、えちごや 清州工場での写真、フロントパイプに加えて、リアマフラーを装着したところ、いままで、
 いくつ 500Eのマフラー、フロントパイプ装着、見てきたかわかりませんが、
 このときのものが、その後のベンチマークになっています。
 このころは、OSのLSDも装着してあります。
 リアのトランクのタイヤハウス、カットしているのわかりますか?


途中、雑誌不況の逆風もあり、編集プロダクションが背伸びして印刷工場なんかに
手を出したこともあり、アポロ出版自体が民事再生で破たん。
編集プロダクションはぶんか社に譲渡されて、雑誌コード引き継いで頑張ってましたが、
残念ながら隔月刊となり、店頭で見かけることもほとんどなくなってしまいました。

連載末期に並行して始めたブログは、
雑誌の記事と違って、連続してテーマを深く連続して記載することができること、
文章量の制限がないこと等のメリットもありました。

毎月5本程度の記事を書こうとしてましたので、もうすぐ1000号に届くようになりました。

その間、世の中の流れも、社会の仕組みも、もちろん車を取り巻く環境も大きく変わり、
ガソリンエンジンが続く間は!といってたのが、そろそろ、先が見えてきた感もあります。

毎年、年末にはまとめ展望で、これからのことを書いていますが、その時にまた、
お話しできればと思います。